エメラルドグリーンの荒川鉄橋を渡ると、そこは都内への通勤便利な川口市。鋳物や味噌を産業とし、それらを流通させる川の道にも恵まれ栄えた川口は、吉永小百合主演の『キューポラのある街』の舞台でもある。減少はしたものの、鋳物工場では今日もコークスが真っ赤に燃えている。
親の再婚で同じ年の姉ができた小学生の陸太郎を核に、身勝手な親に振り回されながらも必死で前を向く子どもたちと、ままならない日々を生きる大人が成す、ある"家族"のありようを描くヒューマンドラマ。人を分かつ川、ものを運ぶ川、離れた心をつなぐ橋、鍛えられて強くなる鉄、風を吹き込まれて赤く煌めく鉄と、川口の日常風景がアクセントとなる。
監督は、『アタシヲ産んだアイツ』(08)、『わらわれもしない』(12)がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭のコンペ部門で上映され、オムニバス映画『埼玉家族』(13)では娘編「ハカバノート」を手掛けた福山功起。本作は、少年だった福山監督が実際に体験したことを元に描いている。出演は、田畑智子、裵ジョンミョン、佐藤大志、舞優、スギちゃん。立体的かつリアルなアンサンブルを見せている。
鋳物工だった父親を亡くした小学生の陸太郎(佐藤大志)は、母やよい(田畑智子)と二人暮らし。ある日、トラックに荷物と娘を乗せて、母親の再婚相手がやってきた。義理の父の名前は紺(裵ジョンミョン)。娘の真理子(舞優)は同じ年で、陸太郎と同じクラスに転校してきた。親の再婚によって、「キョウダイ」になった陸太郎と真理子は、クラスの悪ガキらから「夫婦、夫婦」とはやし立てられ、「リコンドウメイ」を結成。あの手この手で離婚させようと企むが…。